チケットが実は取れていなかったという凡ミスのため、昨夜は空港で3時間ほど寝て起きました。エジプトといえども朝は冷え込みますね。もはや睡眠時は体温が下がってそこそこ寒いです。
僕らは到着ロビーのほうで荷物と一緒に眠っていたので、見た目はもう完全に「今まさしくエジプトに着いた人」です。そりゃそうです。到着ロビーにいる人を見て、誰が「チケットの取得に失敗していてやむなく寝た人」と思うでしょうか。普通は「深夜にエジプトに到着して、朝を待つ人」と思うでしょう。
そんなもんですから、もう数週間はエジプトにいるのに、今までで一番「ウェルカム」頂きました。ありがとうございました。
同時に、タクシー運転手の客引きテクも通用しません。
とりあえずバスに乗って市街地まで戻ろうとしますが、タクシーの運転手は「お前ら初めてだろ?バスで行ったら間違うかもしれないからタクシー乗れぃ!」と言います。しかし残念なことにバスの方法を知ってしまっている僕らは、もはやタクシーのおっちゃんのお客にはなりえないのでした。
初めてである事に付け込んで誘惑してくる人もいれば、初めてであるがゆえの親切な人もいます。
空港バスターミナルで出会った
ムハンマドという若い男性がいます。彼が言うには「市場とかはウソ付きが多いから、何か買うときには最初の店で買わないで何件か回って買ってね」との事。
それはそうなのですが、僕がちょっと驚いたのは、一応それも一般的な認識からすれば不正なんだなーってことです。お金持ちの外国人からは多少多く取ってもいいって感覚がどこかであるんじゃないかと思っていましたが、やっぱダメなもんはダメなんですね。
というのも、彼の奥さんはアメリカの人で、彼女が市場に行くといつも高く値段をつけられて困っているとの事でした。なるほどなるほど。それは困る。
「何か困ったことがあれば電話してね」と電話番号を渡してくれただけではなく、僕らの分のバス代までさらりと払ってくれました。
ムハンマド「どうやったら神と一緒になれるか、近づけるかっていうのを考えてるんだけど、それがなかなか難しいんだな~」
ありがとうございました!
市街地に戻り、宿で部屋を取ります。
今回は、次のフライトまでの空き時間一泊だけなんで、虫も出る疑惑だしトイレなんかも決してキレイではないですが、今までの宿とは別のさらに安い宿にしました。
ベッドに腰を落ち着けて部屋を見渡すと、
たまたま壁にアレンが使っていたのと同じヨーロッパの地図が貼ってありました。
復習すると、アレンとはブルガリアからエジプト初期まで7週間ほど一緒に旅をしたイギリス人のおじさんです。
彼はダハブで「突然気持ちが落ち込んで、一人になりたかった」というまさかの理由で何も言わずに僕より先にカイロに行ってしまったのでした。(当日記事はこちら
「盟友アレン・謎の失踪(399日目・26日付け/エジプト)」)
そのあと、僕はカイロへアレンを捜索に、それと同じ日にアレンは僕に会いにダハブへ戻るという、奇跡のすれ違いが発生、なかなか連絡も取れずに会えず仕舞いでした。
そんなアレンが使っていたのと同じデザインの地図を壁に見つけたので、「あぁ、懐かしいなぁ」と無意識に近づいてみました。
うん、同じデザインだ。
感慨深く目をやります。そしてふと、地図の上のほうに目をやりました。
思いっきりアレン・マテン(Alun Mattan)って書いてる!!署名してる!!
っていうか50歳のおっさんがやることではなかなかない!!やっぱ変だ!アレン、あんた変人だよ!
宿の部屋には、彼の足跡がしっかり残されていました。「彼と同じ地図」ではありません。「彼の地図そのもの」でした。アレン、いたのね。ここにいたのね、アレン。
今頃はインドにでもいるのでしょうか。彼の無事と笑顔を祈ろう。